こんにちは!
仮り暮らしの徳永です。
以前から話題になっている、神待ちの未成年者と未成年者誘拐について、考えています。個人的には「ようやく注目されてきたか」といった心情です。
個人での保護には限界がある
個人で未成年者を保護した場合、すぐさま親御さんなり警察なり児童相談所なりに連絡しなければいけません。でなければ、たとえ未成年者本人の同意があったとしても、保護してからの日数が経てば経つほど未成年者誘拐などといった犯罪扱いになる場合があります。
では、なぜ誘拐になるのか。未成年者本人の同意があればよいのではないか、と思いますよね。そこから逃げたくて逃げてきたわけで、それを保護してあげたのに、と思うかもしれません。
これは、未成年者誘拐という定義が親御さんの持つ「監護権」も保護していると言われているからです。未成年者本人は同意しても親御さんは同意してない、つまり監護権が侵されたという解釈で、有罪扱いされるというわけです。
徳永の個人的な気持ちは
未成年者にとって、家出するということはとても怖く、勇気のいる決断です。
周りは知らない大人しかおらず、所持金は少なく、寝る場所もない。ご飯も飲み水もお風呂も洗濯機もない。レイプされるかもしれないし、暴力を受けるかもしれない。顔写真や裸の写真、もしかしたらレイプされている最中の動画をインターネット上にばらまかれるかもしれない。でも、家にいるよりはマシ。
そういう決意をして家出したのに、連れ戻されてハッピーエンドだなんて、ありえません。
先日も、北海道で家出した10代の少女が、護送中の船から海に飛び降りて亡くなりました。連れ戻せばいいという問題ではないのです。だいたい、家に居ても大丈夫なようなら家出なんてしませんよね。
そんな悲しい末路をたどるくらいなら、一度離れて生活して、お互い気持ちを落ち着けたうえで、ちゃんと会話して和解するなり児童相談所を頼るなりしてほしい。そう思っています。
仮り暮らしでできること
私たちは、家出の理由を問わず生活の場を提供します。お母さんと喧嘩した、ウマが合わない、お父さんが嫌い、宿題したくない、学校に行くのが嫌だ。なんでも結構です。
親御さんには、具体的にどこにいるのかについて住所の番地まで言うことはできませんが、「いまお預かりしています」「ちょっと寝不足気味みたいです。ご飯は食べています。メニューはこれこれです」という報告はしますし、保護した子に虐待が疑われるなら通報もします。
成人の方を保護した場合には、必要に応じて就職に役立つ資格の獲得をサポートし、自立に向けた生活ができるよう援助します。
また、成年/未成年を問わず親子間でうまく会話できないようなら、間に入ったり、この発言はこういう意図では?などと会話をサポートすることも可能です。
子どもシェルターの役割
子どもシェルターの役割は、その日家に帰ることができない、もしくは帰りたくないと思う子どもたちを保護し、家庭復帰なり児童相談所なり他の施設なりに行くのをサポートする所です。
多くは15歳から19歳までの子どもを対象としています。
これは、児童相談所が対象とするのは18歳未満の子どもだけであること、児童養護施設はその多くが18歳になったら出所しなければならないことから、児童相談所が保護しにくい年齢の子を保護するためです。
また、児童相談所に相談したのに保護されなかったという子どもたちの受け皿にもなっています。
そうして保護された子どもたちは、まずは落ち着いて身の振り方を考えるために、数日から2ヵ月程度そこで暮らし、担当のスタッフさん(弁護士さんであることが多いです)と一緒に今後どうするかについて考えます。
各種相談先
児童虐待や、居場所に悩む子どもたちの相談先は児童相談所や189(児童相談所全国共通ダイヤル)、警察だけではありません。
子どもシェルターもそうですし、チャイルドラインという機関もあります。お住まいの自治体にあるお役所も窓口になっています。また、仮り暮らしのような子どもに関するNPO法人も、その窓口です。
それら以外にも、「児童虐待 相談」などでインターネット検索するとたくさん出てきます。何が何でも児童相談所や189じゃなければいけないわけではありません。
ご自身が相談しやすいところに相談すれば、あとはスタッフさんが誘導してくださいます。
おわりに
この先、未成年者のSNS利用による神待ちは後を絶たないでしょう。
防止することを考えることも大事ですが、もっと大事なのはその後のフォローだと思います。記事中にも書きましたが、子どもを責めても何にもなりません。むしろご家庭の問題について着眼した方が良いと考えています。
それでは、今回はこの辺で。
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